弥恵の「からだのかみさま」

東京→京都に移住したライター・弥恵(やえ)の日記です

藍色に目がない私たち

京都に引っ越してから俄然、自転車に乗る機会が増えた。この1ヶ月強で電車に乗ったのは城陽市となんばに行った2回きりで、母が遊びに来た時に数回バスに乗っただけ。なんせ坂がないのでどこへ行くにもチャリザベスで事足りる。

そしてここ数日、グッと気温が上がった。今日は30度近くもあった。土日に山へ街へと遊んでいると、あっという間に日焼けする。見ると自転車に乗ってるママさんやマダムは、つばの深いストローハットで「見えてます?」ってくらい目元を隠してる。学生は日焼けを気にしないのか、パッツパツの若い肌をガンガン晒してるけども。

流石にサングラスと日焼け止めだけじゃあっという間にやられるなあと、今日は進々堂で3時間くらい読書ランチをした後、三条へ帽子を見に行った。藤井大丸のCA4LAで、ストローハットや麦わら帽子を被り、振り返って夫の顔をみると、無表情。

リボン付きのやつ、ほとんど女優帽、ハット、あらゆるものを試してもいまいち同意が得られない。っていうか、自分でもびっくりするくらいどれも似合わない…。

そもそも帽子はあまり好きじゃない。日焼け防止にはつばの広い帽子じゃないと意味がないんだけど、一気に視界が狭くなるあの感じが嫌。登山でもまずかぶらない。自然どころで頭に蓋してる感じが嫌。

気分を切り替えて下着を見に行く。夫は6Fでノースとかスノーピークを見てるというので、しばし別れる。ぐるっとフロアを回ったら、デザイナーの手作りアクセサリーが展示されてて、真鍮でできたすずらんのようなイヤリングを見つけた。意外と手頃だったので即購入。名刺もゲットした。

ウンナナクールだったか、20代くらいのカジュアルなランジェリーが売られている一角で、BGMの代わりにひたすら前髪の長い女の子が詩を朗読したウイスパーボイスが延々と流れてて、聞いてるだけで洗脳されそうな感じにおののいた。

内省的でエモい広告。なんかルミネっぽいな、そういえば新宿でも最果タヒの詩がデカデカはってあったなあ。ポストカードがあって手に取ると、川上未映子と署名されていた。文字で読むと、繊細さに優しく寄り添いつつも叱咤するような詩だった。ただ京都で音で聞くには、声の湿度が高い気がする。

イヤリングと戦利品の下着を揺らして6Fへ上がると、ちょうど正面にノースフェイスがあって、そこに夫がいた。スーツケースが気になるらしい。

っていうかもうノースって販売店によってラインが細分化されてる感じでよくわからん、と目のあったスタッフに聞くと、笑いながら、ここは割とトラベル系を揃えてますね、厳密にラインを分けてはないんですが、とあごに手をやる。癖なのかしら。アウトドアメーカーってヒゲ率高いなあとぼんやり思った。

「ハット、いいのあったで」とスノーピークに連れて行かれる。ブラックのハットで、アウトドア仕様なんだけど品がある。びっくりするくらい似合う。我ながら、顔が爬虫類系というか、ユニセックスだよなあと鏡を見つめていると、「これどう」と夫。

振り返るとなんとも深みのある藍色のジャケット。夫婦揃って思わずため息。我が家は藍染大好き。でもお高いんだろうなあと値段をみると5万もする。夫にはおらせるといやあ、似合うね、夫は和風な顔立ちなので藍染がとてもしっくりくる。スノーピークは職人の町・新潟県三条市で創業したアウトドアメーカーで、三条といえば金物、同社もスタートは金物だった。

キャンプ用品に矛先を変え、2度のキャンプブームを超えて近年アパレル進出もした。ただ、当初に表参道でアパレルを見たときは、「ちょっとデザインがとんがりすぎてるかな」と思った。あれからどんな変遷があったのか、店頭に並ぶのはどれも汎用性があり、職人魂のこもったものばかりで、中には三条の工場で丹念に仕上げたものもあるという。作務衣や作業着なんかもある。これがどれも夫に似合う。本人も気に入ったようだった。

帰りに無印に立ち寄ると、こっちも藍染推し。やたらに藍色のアパレルが目立つ。いいなあ、藍色って時間を吸い込むような色だと思う。雑音とか思念とかもみんな飲み込んでしまうような深さ。それでいて土気がある。たまにはいいですねウインドウショッピング。不思議だな、東京にいたころは買い物してるとすぐに疲れちゃってたのに、今日は人が多くてもちゃんと楽しかった。