弥恵の「からだのかみさま」

東京→京都に移住したライター・弥恵(やえ)の日記です

御蔭神社とカオソーイ

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA 

今日は比叡山の麓にある御蔭神社へ行ってきた。日差しも風も強く、チャリザベスで出発してすぐにサングラスをかけなかったことを後悔した。

夫は夫で、どうもチャリ吉のタイヤの調子が悪いという。一乗寺のあたりの自転 車屋さんで見てもらったらご臨終寸前とな。ひとまずは空気を入れて様子を見ることに。

宝ヶ池のあたりから一気に山が近くなり、新緑の木々が突き出ている。徐々に坂道になったと思うと視界が開けた。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA 高野川、涼しい。近づけば近づくほど、いつもはとんがって見える比叡山の頭が隠れて、肩に見下ろされる。夫が立ち漕ぎしだす。風が土の気を含んでる。体感では街中と2度ほど違う。

御蔭神社は山中にあるようで、しばらく山道が続く。痩せた杉の林には光が入り、丁寧に間引きされているのがわかる。

「ここはまだ神域の感じがしないね」と夫。比叡の懐でそんな、とちょっと考えて、「まあ、山そのものが人の域ではないしねえ」と答え、「でもここはまだ、神社の領域、って感じはしないね、人里の感じの方があるよね」と付け加える。

どうにもこういうときは、自分の立ち位置がわからない。別に何か注意したいわけでもないが、山中での適度な緊張感を、夫とも共有したい気持ちがあった。人外の土地に踏み込むには相応の礼儀がある。言い方に淀む私の迷いをくるむように、「そうそう」とうなずく夫。声の明るさには、それだけで肯定してくれる力がある。

山道のT字路に差し掛かり、左手に御蔭神社への矢印が見える。古い石段が土に埋もれている。「あ」と同時に声が漏れた。思わず一礼した。空気が全然違うね。ぴたっと肌に張り付くね。正面からまるで川の流れの上辺を撫でているような、涼やかな風が流れてくる。

下鴨や上賀茂と同じ、朱色の鳥居。葵祭はここから始まるらしい。ジャージ姿のおじさんとすれ違う。突き当りをさらに上がると、森の一角が開けた。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA 適当な石に腰掛けて、昨晩のうちにこしらえた、たけのこと菜の花の炊き込みご飯を食べる。ここを教えてくれたのは私より京都に詳しい母で「誰もこない」と言っていたがその通りだ。静かだ。ちょっとした森歩きピクニック。ああいいよねこんな土曜日。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA 何かの幼虫が宙に浮いていた。可愛い〜!!

帰りは下り坂で、一気に駆け下りる。このとき私はなにか、すごく恥ずかしいことを思い出して「ああ」っと声をあげた。それすらも風に飲み込まれて、吐き出すように歌った。すれ違う人はいない。誰にも聞こえてない。気持ちがよかった。

夫は夫で、「やっぱチャリ吉あかんかも」としきりに後部のタイヤを気にしている。今朝と同じ自転車に立ち寄るとお兄さんが出てきてくれ、20分ほどでタイヤ交換をしてくれることになった。すでにパンクしていたらしい。

お腹は減ってない。なのにここで、突然、電撃のように「カオソーイ」の文字が降ってきた。ごおおおおん。かおそ〜い。北山のタイ料理屋さんに入る。しかし食べログで調べた時にはあったカオソーイがない。「あちゃ」顔を見合わせる。でももう、お冷やもきちゃったし。

代わりにトムヤムクンを食べた、美味しい。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA だけどなんだか欲求不満。するとレジ横にココナッツミルクとレッドカレーペーストが売っている、しかもこないだスーパーで見たのより、ほかのタイ料理やで見たのより安い。思わず一緒に購入した。

夜、夫が美容室から帰ってくる。「ヤンキーみたいなにいちゃんに切られた」と笑いながら、目が「どう?」と聞いてくる。おお、腕のいいヤンキーだな、一体どんな美容室に行ったんだろう。夫は身の回りにさほど頓着しない。「身だしなみの最低限はちゃんとね」とちょくちょく口出しさせられるけど、まあ四隅は抑えてる方だと思う。

恵比寿時代にも、「浮世床」なるバーバー的な床屋でよく坊主にしてもらっていた。そういうところが愛おしい。何よりお金がかからない。

エコな夫に「ジャーン」とお手製カオソーイを披露。カレーの残りも加えてみたら、ぐんとコクがました。これを書いていて、ブログ用に撮っておけばよかったなあと思った。なかなか美味しいと好評で、あっという間に平らげた。